プライマリーケア

6. 現状と課題-GP

GPに関しては、医療制度の核として、医療需要の適正化、健康増進などの面で有効に機能していると評価されている。反面、GP間のスキルのバラつき、一部地域へのGPの偏在が問題となっている。これらの課題の背景には、GPが法的には独立した事業者であること、PCTがGPに対して歴史的に影響力を行使しきれていないことがあると考えられる。一部のPCTは、GPとの契約においてPCTによる直接的な管理を盛り込む、GPに対する契約金の大幅な値下げを図るなどしているが、GP側の大きな抵抗にあって訴訟まで至っているケースもある。GPとのつかずはなれずの関係のマネジメントはPCTにとってこれからも大きな課題となる。ひとつの有効なアプローチとして、地域医療提供体制の見直しによって生じた新規事業機会を交渉材料にGPに対してより影響力を持てる契約を了解させるということが試されつつある。

また、患者サイドの傾向として、GPを経ずに直接病院へアクセスするという行動パターンは今後も増えていくと考えられ、GP制度全体の空洞化へつながるリスクがある。PCTが実行している救急需要の抑制策の効果、GPと病院間での患者情報の一元化システムの定着を見守る必要がある。